「桐乃?」
様子がおかしい私の顔を覗き込むイケメン・・・。

「誰・・・?私・・・」
もしかしてアニメのように別世界にワープでもしてしまったのだろうか。
それかこれって!
「夢・・・?」
思わず自分の頬をつねろうとアナログなことをしようとすると
「現実だよ。もしかしたら頭をぶつけた衝撃で、脳の腫れが影響してるのかもしれない。」
頬に運んだ私の手を、大きな手で包み込みながらイケメンがいう。

「自分の名前、覚えてる?」
「松崎・・・桐乃・・・」
私の言葉に、イケメンが悲しそうな表情になった。

どうして私・・・この人を知らないのに・・・この人の表情に心の動きがわかるのだろう。
かすかな疑問を感じながら、私はイケメンにくぎ付けになったままだ。