記憶喪失の妻は一途な夫(外科医)に溺愛される

「今日はここまでだ。顔色が悪い。」
紫苑はちらりとバイタルを確認している。
時々見せる医師の顔。

「私たちは・・・どうやって出会ったんですか・・・?」
もっと聞きたいことがたくさんある。
「出会った時の話はまた今度。」
紫苑はそう言って私の頭を撫でると、「食べられそうなもの、買ってくる。」と病室を出て行った。

彼の背中をみながら、どうにかして思い出せないかと、目を閉じる。

でも・・・結局もやがかかっている部分は見えないまま。

「はぁ・・・」
ため息をついて、紫苑が角度をつけてくれたベッドの背に、寄りかかる。

自分のお腹に触れて、赤ちゃんの存在を確認しようとする。
若干の違和感があるのは、昨日エコーで赤ちゃんの姿を見たからだろう。