だからこそ、時間を作って日本に帰れるようにしたかった。

この一年、本当にいろいろなことがあった。
俺にとっても、人生の大きな転機だったことは言うまでもない。

でも桐乃の方がもっといろいろなことを経験した。

今でも時々、夢にうなされることのある桐乃。
定期的に一緒にカウンセリングをうけるようにしていても、誰もが経験したことの無いような体験を、一番人生が大きく変わる時期に体験してしまった。

彼女の中で、普段は見せずに気丈にふるまっていても、経験したことは恐怖として残っている。

なるべく彼女の負担を減らしてあげたい。
彼女の心に寄り添って、本当の意味で乗り越えられるように、支えたい。

俺は常にそう思っている。