「・・・」
目の前に置かれたトレイとにらめっこをする私。
そこにはいかにも海外の食事というメニュー。

「・・・」
どうしても食べようという気持ちにならないのは、メニューだけが原因じゃない。

朝、カーテンが開くのと同時に、周りで交わされる英語の会話。

見えるものすべてが新しく、なじみがない。

もしかしたら朝になったら記憶が戻っているのではないかと思っていた私の期待はみごとに外れた。

そして・・・
何度も姿を探したけれど、その人が見つからない。

私の夫である、新田紫苑という人が。