記憶喪失の妻は一途な夫(外科医)に溺愛される

紫苑は流暢な英語でドリンクを注文してくれる。
「今日はランチにいいところ、予約してあるからさ。今はドリンクだけにしよう。」
と提案された私たち。
温かなカフェインレスの紅茶を私は注文してもらった。

「いい天気」
「そうだな。そういえば桐乃が晴れ女だって前に教えてくれたことがある。」
「そう。私、運動会とか雨が降った時ないの。遠足とか。」
「すごいよなー。ウェディング写真を撮るときも、本当はくもってたのに、写真を撮るころにはかなり晴れてさ。おかげで自然光を使って写真も撮れたくらいなんだ。」
紫苑がためらわずに、私が記憶を失っている期間の話をしてくれるのが、今はうれしい。
変に気づかいされるよりもいい。

「今日も、あったかいしね。」
「でも、ニューヨークの冬は寒いぞー。」
「そうなの?」
「あぁ。もうすぐ、ダウンジャケット着ないと外に出られなくなるくらい。」