記憶喪失の妻は一途な夫(外科医)に溺愛される

はじめは恥ずかしくて仕方なかったのに。今はむしろ、その手がないと寂しいくらいに感覚がマヒしている。

車に乗るときも紫苑は私を手厚くエスコートしてくれる。
頭をぶつけないように、手を添えてくれたり、座席に乗り込んだ私にシートベルトをしてくれる。
膝には、プレゼントしてくれたばかりのブランケット。

「ありがとう」
感謝を伝えると、紫苑はふっと笑って「デート、楽しみだな。」と私の頭を撫でた。
「うん」
「ちょっと待って。」
と彼は運転席に回り、すぐに私の隣に戻ってくる。
「これ、あったかいお茶入ってるから。」
用意してくれていたタンブラーをドリンクホルダーにセットする。

「俺のはコーヒー。におい、大丈夫?」
「大丈夫。」
つわり中はありとあらゆるにおいに敏感になっていた私。