記憶喪失の妻は一途な夫(外科医)に溺愛される

「ご両親が亡くなったあとも、こうやって少しずつ笑うようになってくれたんだ。桐乃。久しぶりに桐乃の笑顔が見られてうれしい。」
「・・・でも寝てばかりで・・・ごめんね。」
敬語を使わないように気を付けながら言う私。

「眠くなるのもつわりなんだから、謝るのは違う。むしろ、寝顔見れたし、満たされた。」
紫苑はそう言って優しく微笑む。

「一緒にお風呂って言いたいところだけど、待ってる。お湯ためてくるから、待ってて。」
紫苑がソファから立ち上がろうとするのが寂しさを感じる。
「もう時間も遅いし、シャワーで済ませるから。大丈夫。」
私の言葉に彼がソファに戻ってくる。

「ちゃんと体あっためないと、冷えるから。短時間でも入浴したほうがいい。まってて。」
そう言って彼は私の頬にあたりまえのようにキスしてから、浴室に向かった。