記憶喪失の妻は一途な夫(外科医)に溺愛される

「私と出会ってから?」
「そう。」
「私が作ったの?」
私の記憶の中ではラザニアを作った記憶はない。

料理は昔から好きでよくしていたし、作れるメニューも多いほうだとは思う。
でも、ラザニアを作った経験は私の記憶になかった。

「そう」
彼は私のお腹にもう一度触れた。

「・・・」
思い出せないことを複雑に思っていると、紫苑は私の方を見ていたずらに笑った。
「大丈夫。思いだせるから。思い出せなくても、レシピ知ってるから。」
「え?」
「桐乃の背中に張り付いてたから。作ってくれてる時。」
「張り付いてたって」
思わず笑う私。