記憶喪失の妻は一途な夫(外科医)に溺愛される

あまりに自然なキス。

全然嫌じゃない。

優しく触れるだけのキスなのに、こんなにも満たされた気持ちになるのかと知る。
全身がじわっと温かくなる。

自分でも感情がかなりコントロール不可能な状態だと思う。
泣いたり笑ったり、もどかしかったり、苦しいくらいせつなかったり。

紫苑は妊娠中はホルモンも不安定になること。
まして、事故に遭って怖い思いをしたり、記憶を失っているなんて、自分には想像を絶する状況だからそれでいいと言ってくれた。
感情のままに、泣いたり笑ったりおこってくれるほうが今は安心するからと、すべてを包みこもうとしてくれる。

唇が離れた瞬間、少し寂しく感じたことは、彼に内緒にしようと思いながら、私は微笑みを返した。