記憶喪失の妻は一途な夫(外科医)に溺愛される

その時、玄関のチャイムが鳴って私が立ち上がろうとするのと同時に玄関のかぎが開けられた。

「ただいま」
玄関からの足音で急いで帰ってきてくれたことが分かる。

そこにはスーツ姿でネクタイを緩めて、少し息の切れている紫苑がいた。

ソファで私が携帯電話を見つめながら泣いていることに気づいた紫苑は、すぐに私の方に駆け寄り抱きしめてくれた。

たった一日。

たった一日離れていただけなのに、彼の胸に抱かれて心から安堵する。

少し消毒のにおいのする彼の胸に顔をうめて、私は泣いた。