記憶喪失の妻は一途な夫(外科医)に溺愛される

彼を目で追っていた私が、気づかれないようにとった写真たちがフォルダにいっぱいのこっている。

思わず、盗撮じゃんと自分につっこみを入れてふっと笑ってしまう私。


写真のフォルダの最後の写真は、きっと私は飛行機の搭乗口にいるのだろう。
遠くで私に向かって手を振る彼の小さな小さな姿だった。

なぜか涙が溢れた。

こんなにも写真が残っていて、まるで失っている記憶を繋ぐようにストーリーを感じるのに、ほかのシーンや彼と話したこと、温度など、写真に残っていないことは何も思いだせない。

携帯のメモリーに残っているものをみるのは怖かった。
記憶を失っている間の出来事を知るのが怖かった。

でもそれ以上に、過去を思い出すための最後の希望でもあった。