記憶喪失の妻は一途な夫(外科医)に溺愛される

大きく深呼吸をしてから、携帯電話の電源を入れる。

私がニューヨークに戻ってからは、紫苑が新しい携帯電話を用意してくれていて、今の私もその携帯電話を使っている。
その電話の中には、体調を気遣ってくれる紫苑からのメールや、赤ちゃんのエコー写真や、きれいなリビングの窓から見た景色などの写真が残っていた。

実際に記憶のない期間の写真やメールを見ても、結局何も思いだせなかった。

でも、古い携帯電話の方は、両親が亡くなった時の内容もきっと入っていると気づいている私。
なんとなく、その時の自分と向き合う勇気がわかなくて、見れずにいた。

電源を入れると見覚えのあるトップ画面。
記憶にある画面が目に入り、一瞬、喜びに似た安心を感じる。

そして・・・
私は画面を操作して・・・アルバムのアプリを開いた。