記憶喪失の妻は一途な夫(外科医)に溺愛される

『大丈夫?』
「え?」
『アルバム見てたって言ってたから。つらくない?』
電話越しでも彼の優しい声のトーンが伝わる。
「大丈夫」
『帰ったら思い切り甘やかすから。』
「・・・」
恥ずかしくなって、言葉に詰まると、彼は電話越しにふっと笑う。

『遠慮しないでいつでも連絡して。オペ中でも、オペ室に電話つながるんだ。』
「そうなんですか?」
『スタッフは日本語わからないから、スピーカーでも内容はばれないから安心して。』
「そんな」
『ははっ。じゃあ、なんでもいいから口にすること。わかった?』
幼い子に言い聞かせるように言う彼に、素直に返事をして電話を切った私は、夕べ彼が用意してくれていた野菜たっぷりのスープを温め始めた。