それは私の携帯電話だった。記憶を失う前から使っているその携帯電話はよく覚えている。
「桐乃にこれを渡せなかったのも、ご両親のことを思い出したら・・・って。先生たちからも、これ以上桐乃を動揺させると流産の危険性も上がるからって言われてて。渡せなかった。ごめん。」
彼は私が日本で使っていた携帯電話の契約も継続していること、ニューヨークで生活をするためにもうひとつ、携帯電話を持っていたことを教えてくれた。
もちろん、私は後から彼に用意してもらったニューヨークで使っていた携帯電話は見ても、自分のものだと認識できない。
病室で見つけていた私の古い携帯電話。
今、彼が私の手に乗せてくれた。
私は中をみる勇気がわかなくて、携帯電話を抱きしめたまま涙を流す。
「桐乃」
紫苑は私を強く抱き寄せる。
夢の中で見た両親の遺影と、今までの両親との思い出がよみがえって整理がつかない。
私が最後に覚えている両親の姿は、ニューヨークへ一人で卒業旅行に向かう私を心配そうに空港に送ってくれた姿だった。
「桐乃にこれを渡せなかったのも、ご両親のことを思い出したら・・・って。先生たちからも、これ以上桐乃を動揺させると流産の危険性も上がるからって言われてて。渡せなかった。ごめん。」
彼は私が日本で使っていた携帯電話の契約も継続していること、ニューヨークで生活をするためにもうひとつ、携帯電話を持っていたことを教えてくれた。
もちろん、私は後から彼に用意してもらったニューヨークで使っていた携帯電話は見ても、自分のものだと認識できない。
病室で見つけていた私の古い携帯電話。
今、彼が私の手に乗せてくれた。
私は中をみる勇気がわかなくて、携帯電話を抱きしめたまま涙を流す。
「桐乃」
紫苑は私を強く抱き寄せる。
夢の中で見た両親の遺影と、今までの両親との思い出がよみがえって整理がつかない。
私が最後に覚えている両親の姿は、ニューヨークへ一人で卒業旅行に向かう私を心配そうに空港に送ってくれた姿だった。



