記憶喪失の妻は一途な夫(外科医)に溺愛される

「ごめんな。記憶がない時点で言おうか迷ったんだ。でも、桐乃を動揺させるだけだから言えなかった。」

確かにおかしいと思ってた。
記憶がない状態の私でも、失っている記憶は半年だけ。
それよりも過去のことは覚えている。

妊娠しているから日本に帰ることができなくても、両親に連絡くらいはできるだろうと思っていた。
現に、両親に連絡をしようとしていたのに、今は会えないし心配をかけるだけだからとか、体調が落ち着いたら連絡しようとか、紫苑は何かと理由をつけて連絡をさせてくれなかった。
「ごめんな、桐乃。ごめん。」
何度も何度も私に謝りながら、背中をさする紫苑。

紫苑は私が少しだけ落ち着くと、私から離れて、何かを持ってきた。

そして私の手に渡す。