記憶喪失の妻は一途な夫(外科医)に溺愛される

「桐乃っ!」
聞こえて来た声に目を開ける。
「うなされてた。大丈夫か?どうした?」

乱れた呼吸を整えながら私は紫苑の手につかまるようにして、彼の目を見た。

「夢で・・・」
「夢をみたのか?」
「・・・私の・・・両親・・・」
呼吸が整わず、思うように話ができない。

私の言葉に紫苑は驚いたように目を丸めた。

「思いだしたのか?」
彼の言葉は、私を絶望に導く決定打だった。