虫採りに行って、膝小僧を擦りむいた時。
いじめっ子に追いかけられた時。
木から落ちて、たんこぶ作った時。
蜂に刺されて、泣いていた時。
何かあると助けてくれ、
ゆき乃、大丈夫かといつも慰めてくれた。
そこには、両親に言えない、たくさんの思い出がある。

「大きくなったら、兄ちゃんと結婚したい」
そんな、我が儘まで、言っていたことを覚えている。
兄は優しく抱きしめてくれた。