くしゃっと顔を歪めて涙を浮かべる柚李から、俺はそっと視線を逸らした。ずっとその表情を眺めていては、きっと自分の中で張っている何かが崩れてしまうと感じたから。
「…ごめん、なさい…」
泣き濡れた微かな声に、ドクンと胸が疼いた。差し伸べたくなる手をぐっと堪えて、何も感じてないみたいに踵を返す。
「…また会いたい」と小さく聞こえて、でも俺は何も返せなかった。それは止めろと言いたかったのに、仮面の下に隠れた"それ"が否定する。また会えると、高揚に似た何かを連れ出して。
「…………」
晴れていた筈の空は、いつの間にか薄暗く曇り始めていた。
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