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「涼也!やっと会えた…っ!」



学校近くの、人気の無い公園。数少ない遊具も所々錆びて、子供の遊び場とは言えない惨状の物寂しい場所だ。


懐かしいと思ってしまうのは、忘れたくても忘れられない、鬱陶しい記憶の所為だろう。



「…なんで来たの、柚李(ゆずり)



いつものおちゃらけた声は出ない。お得意の軽い笑みも、口角が上がらなくて獅貴みたいに無表情だ。けれど取り繕うことはしない。目の前の女だけは、俺の本性の全てを知っているから。



「っ…涼也…」



俺の冷たい声に案の定、柚李は悲しげに眉を下げた。瞳に僅かに水の膜が張られているが、そんなことは知ったこっちゃない。あの日お前だって、俺にそんな表情をさせたのだから。



「迷惑なんだけど。もう会わないって言ったよね?」



刺々しい声音だ。他の女の子には絶対見せない裏の顔。裏、というよりは、こっちが本当なんだけど。


取り繕わずに本性で接してしまっているところが、未だに過去から、柚李から抜け出せていない証拠だ。そんなことは…分かっている。



「違うのっ、聞いて涼也!私ずっと、ほんとはずっと涼也のこと、忘れたことなんて無かった!」