「―――…おはよう紫苑、今日も可愛いな」


「…いや、何で横で寝てるの?」



目覚めて真っ先に目に入ったのは、寝起きでも認識出来るキラッキラの美形だった。


ふわっと微笑んだその男は、私の頬を指先で淡く撫でて上半身を怠そうに起こす。その弾みで少し沈んだふかふかの感触に、私は初めて自分が広いベッドの上で寝ていることに気がついた。



「…私、昨日はソファで寝たはずだよね?」



んーっと伸びる獅貴の背中に声を掛けると、大して動揺もなさそうな余裕気な視線が返ってくる。そうだったか?とでも言いたげな瞳に眉を寄せた。


――記憶は確かだ。


昨日の夜、ベッドで一緒に寝ようと煩い獅貴をシカトしてソファに横たわった。一緒に寝れないなら俺がソファで寝ると喚く獅貴もシカトした。そもそもここは獅貴の家なのだから私が図々しくベッドを占領する訳にもいかない。


だというのに、だ。


目覚めたら寝心地の良いベッドの上。なんならソファも私の部屋の布団より断然寝心地良いのだが、やっぱりベッドとなると別。そんな状況で、目の前には何故か獅貴が当たり前みたいな顔で横たわってる。


取り敢えず説明を要求する。ちょっと意味がわからない、まさか私が寝た後にこっそりベッドに運んだとか言わないよね?