‐ある日、

『今度の日曜日、どこかに出掛けない?』

電話で偲月(しづき)が言った。

「行きたい!」

その時は元気よく答えたものの、当日になっても行きたい場所が思い浮かばなかった。

結局、家から遠いイオンに行った。
家から近いイオンだと、誰かに見られてしまうかもしれないから。

イオンでは、ただブラブラとあてもなく歩いた。

帰りの車の中では、椿季が山田(やまだ)と言う女教師に泥棒扱いを受けた事や、椿季と偲月は何に見えるのだろうと言う話をした。

椿季が泥棒扱いを受けた話をすると、偲月は怒りだし、

『その先生に直接文句言ってやろうか?』

と言ってくれた。
椿季はその時、偲月は優しいな…と思った。