「おいっ」


「は....?」


突然雨の感覚が消えた。


その代わり雨が打ち付ける音が聞こえる。


「なに笑ってんだよ」


後ろをゆっくり振り向く。


会長先輩が私に傘をさして、立っていた。


「会長先輩、自分に傘、ささないんですか?
濡れてますよ」


普段なら怖くてこんなこと言えないけど口が勝手に動いた。


「お前だって濡れてるじゃん」


「なにか私に用ですか....」


インクが滲んだチラシを握りしめて涙をこらえる。


「別に。チラシ、探してた。
起きたらなかったから」


「すみません....」


そうだ。会長先輩に言わずにチラシ配り始めちゃったんだ。