途端、ハッと息を呑む気配がして、

「あんまりにも話に聞いた通りの方だったので、ついうっかり可愛らしいとか言ってしまいました! いきなり不躾(ぶしつけ)な言動をしてしまいましたね。……すみませんっ」

 謝罪の言葉と同時に衣擦(きぬず)れの音がする。

(も、もしかして、頭を下げてくださってる……?)

 私が恐る恐る顔を上げると、思った通り、深々とお辞儀をした塚田(つかだ)さんがいらして、私は慌ててしまう。

「あ、ち、違いますっ。不躾だなんて思ってないのですっ。あの……じ、実は、お恥ずかしい話、男性からそんなことを言われたの、初めてだったもので……その、何だか照れてしまっただけなのです……」

 彼の笑い声と、「ついうっかり」という言葉に救われたような気がしたところへ、「可愛らしい」の応酬(おうしゅう)。私は慣れないことの連続に、舞い上がってしまっただけなのだ。