あなたに、キスのその先を。

 今日は手荷物が少なめだったので、ロッカーには向かわず机の引き出しに入れたらいいかな?と思っていた。でも現状が何となく気まずくて、「荷物、ロッカーに入れてきますっ」とつぶやいて、思わず逃げるように席を離れてしまった。

 その背中に、修太郎(しゅうたろう)さんの視線が痛いほど刺さっている気がして……。

(うー。私、何か修太郎さんを怒らせるようなこと、してしまったのでしょうか?)

 思い当たる事象があるとすれば、高橋さんと共に北扉から入ったことくらい。

 南扉から出て、女子更衣室へ向かいながら、私は気持ちがそわそわと落ちつかなかった。