お手洗いを終えて 廊下に出ると、その気配を察して下さったのか、すぐに塚田(つかだ)さんがいらっしゃる。

 トイレに行った時みたいに壁伝いに歩けば、身動きが取れないわけでもなかったので、わざわざ塚田さんのお手をわずらわせてしまうことに恐縮してしまう。
 それでも手を差し伸べてくださるのを無下(むげ)にもできず、私は恐る恐る塚田さんの手をつかんだ。

「歩けますか?」
 問われるままにうなずくと、塚田さんは私の肩を抱くようにしてしっかり支えてくださった。

「しゅみません……」

 言えば、「むしろ大歓迎です」と笑顔を向けられる。

 私はそのお顔にはやっぱり勝てなくて、どうしてもドキドキしてしまう。

 そのままリビングまで一緒に歩いてから、私は塚田さんに(うなが)されるままに フカフカのソファに座った。