「僕にとって日織(ひおり)さんは桃の香りというイメージです。ほら、初めてのキスのとき、日織さん、ピーチサワーを飲んでいらしたでしょう?」

 下着姿の私の腰に腕を回されたまま、修太郎(しゅうたろう)さんがクスクスと笑っていらっしゃる。

「言わないでくださいっ。恥ずかしい……です」

 あの日の醜態を思いだすと、今でも顔から火が出そうになる。

 先ほどソファで押し倒されて、ブラウスとスカートを脱がされてしまった。

 修太郎さんも上を全てお脱ぎになられたので、てっきりそこでそのまま……なのかな?と身体を固くしたら、そっと抱き上げられてベッドに運ばれてしまった。

 結果、今の私はこんな薄布姿でマットに座っている……。

 修太郎さんも上半身裸なことを考えると、一人だけ露出が多くて恥ずかしいです、とも言えなくて、私は基本(うつむ)いて押し黙っている。

「僕はあの日の貴女が忘れられません。やっと、僕のもとにキミが落ちてきてくれた日ですから」