あなたに、キスのその先を。

***


「私、修太郎(しゅうたろう)さんの香り、大好きです」

 照れ隠しのように、彼の笑顔を見つめながらうっとりとそう言うと、「香水の話ですか?」と問いかけられた。

「僕が使っているのはあれです」
 修太郎さんが指差された先を見ると、黒い小瓶が見えた。
「ブルー ドゥ シャネル?」
 目を凝らして瓶に書かれた文字を追えば、
「よく読めました」
 くしゃくしゃと頭を撫でられた。

「もうっ。子ども扱いは……イヤですっ」

 ぷぅっと頬を膨らませて抗議したら、
「すみません。では、日織(ひおり)さんのお望み通り、大人の扱いをいたしましょう」

 ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべた修太郎さんに、ソファへ押し倒された。

 私を、修太郎さんが(まと)うシプレ系の香水が包み込んだ。