結局、最終的には、私の意思を反映させた結婚式をなるべく早めに手配するように念押しされて、健二(けんじ)さん、佳穂(かほ)さんとはお別れしました。

「これからどうしますか?」
 お店を出て車に乗り込んでから、修太郎(しゅうたろう)さんを見つめて問いかけます。
 どこかにお出かけするにしても、何となく中途半端な時間になってしまった気がします。

「あっ、あのっ、夕飯の材料を一緒にお買い物して帰りませんか?」

 どこかをうろうろするよりも、少しでも早く修太郎さんと二人きりになりたいと思ってしまって。
 それでもストレートにそう申し上げるのは何となく恥ずかしくて、直帰しましょう、と言い出せなかった私は、ワンクッション挟むような提案をしてみました。

「二人で買い出し、ですね」
 修太郎さんが愛しげに私の方を見つめていらっしゃるのが嬉しくて、「はいっ。何だか新婚さんって感じがして憧れるのですっ」
 弾んだ声でそう申し上げたら、ふわりと頭を撫でられました。
 ひゃー、幸せですっ。

「そうですね。せっかくなので新婚気分を堪能してから帰宅しましょう」
 そこまでおっしゃってから、ふと思い出されたように、「少し足を伸ばして、結婚指輪の下見もしませんか?」と言われて。

 私はつい先日婚約指輪をいただいたばかりなのを思い出して固まります。