あなたに、キスのその先を。

***

「こっちよ」

 結局、私たちが佳穂(かほ)さんの待つファミリーレストランにたどり着けたのは、十一時近くなってからでした。
 修太郎さんと一緒に店内に入ると、佳穂さんが立ち上がって手を振ってくださいます。
 手招きされるままにお席に近づいてみると、死角になっていて見えていませんでしたが、健二(けんじ)さんもおられました。
 何だか傍目(はため)に見ると、ダブルデートの待ち合わせみたいかも?

「あ、あのっ、遅くなってすみま――……」

 身支度(みじたく)や移動時間で、結果的に一時間近くお待たせしたことになってしまいました。そのことを、席につく前に謝ろうとしたら、修太郎(しゅうたろう)さんが(さえぎ)っていらして……。

「僕と日織《ひおり》さんの貴重な時間に無理矢理割り込んできたんですから、謝る必要なんてありません」

 うー。修太郎さん、何だかものすごーくご機嫌斜めです。

 というより、佳穂さんと修太郎さん、一触即発の気配なんですがっ。
 オロオロと二人を見比べる私とは違って、健二さんはこういうのには慣れっこでいらっしゃるのでしょうか。

「とりあえずみんな一旦席について……兄さんたちは何か頼みなよ?」

 おっしゃりながら、ぽんぽんっと自分の横の席を叩いて「佳穂」と小さく呼びかけると、佳穂さんを御自分の隣に(いざな)われます。

 佳穂さんが席につかれたのにならって、私も修太郎さんと並んで腰掛けました。

 私の前に佳穂さん、修太郎さんの前に健二さん、という席順です。