言いながら修太郎(しゅうたろう)さんの頭をそっと撫でると、そのたびに指にふわふわと彼の髪の毛が絡まって、それがなんだか凄く愛しいと感じました。
 肩に乗せられたままの修太郎さんの頭に顔を近付けて、彼の香りを胸いっぱいに吸い込みます。

 私は、やっぱり修太郎さんのことが大好きです。

「――日織(ひおり)……さん?」

 その気配に、修太郎さんが私からそっと離れて、初めてこちらを見てくださいました。

 私はそんな修太郎さんのお顔を見つめてにっこり笑うと、彼に伝えます。

「私の初めてを修太郎さんにもらっていただけるのも、修太郎さんの初めての相手を私が務めさせていただけるのも……すごくすごく嬉しいです。――なのでっ、……なので、次こそは……その、()()()……うまく出来るように……えっと……が、頑張って……みませんか? 私、思ったんですけれど……やっぱりどちらか一方だけが無理をする形は……ダメですっ。だってね、修太郎さん。夫婦の営みは()()()()()()()、なんでしょう?」

 私の言葉に、修太郎さんが瞳を見開いていらして。
それから私をギュッと抱きしめてくださいました。

「日織さんっ。本当に貴女って人は……。どこまで僕の心をかき乱せば気が済むんですか……?」

 言葉とは裏腹に、彼の声音はとても嬉しそうで……。私も、凄く凄く幸せな気持ちになれました。

 私たち、初めて同士なのですから、お互い様なのです。
 足りないところは、二人で補い合うのですっ。
 ね、修太郎さん。それで、いいですよね?