修太郎(しゅうたろう)さん……」

 私は、肩に乗せられたままの修太郎さんの頭――髪――にそっと触れました。
 その気配に、修太郎さんがほんの少しだけピクッと反応なさいましたが、お顔をお上げになられる気配はありません。

 私が変な泣き言を言ってしまったせいで、修太郎さんにすごくすごく気を遣わせてしまったのが分かりました。
 男性がそういうことをわざわざ告白なさることが、どれだけ勇気のいることか……。いくら世間知らずの私でも分かります。

 ましてや彼は私より十三も年上です。年長者としての矜恃(きょうじ)もおありだったでしょう……。なのに、それを捨ててまで私に全てを話してくださった。

 修太郎さんは、私が彼に対して、男性経験がないが故に引け目を感じていることを察してくださったんだと思います。だからわざわざご自身のことを。

 修太郎さんの優しさが、胸に突き刺さるような気がしました。

「私、馬鹿でした……」

 今更ですが、心の底からそう思いました。

「最後まで出来なかったら……私、修太郎さんに捨てられてしまうかもしれないと思って……怖くなってしまったんです。修太郎さんはいつでも嘘偽りなく私を真っすぐに愛してくださっていたのに……。アナタの愛情(お気持ち)を疑うような真似をしていることにすら、気付けていませんでした。本当に、ごめんなさい。――私、嫌になるぐらいお馬鹿さんですね……」