修太郎(しゅうたろう)さんの問いかけは、静かな声音でしたが、とてもとても怖いお声でした。

 わざわざ「抱きたい」ではなく「犯したい」と言われたのも、私の姿勢に対して、そう言うつもりなら僕も……と、意図的にそちらの言葉を選んでいらした気がします。

 私は修太郎さんの怒りを肌でひしひしと感じて、どうお答えしたらいいか、必死で考えます。
 いつもの自分なら……多分どうしたらいいか分からないとうつむいてしまっていたと思います。
 でも……それではいけない、と思いました。

 修太郎さんが真剣に気持ちをぶつけてくださっているのに逃げるのは卑怯です。

「あ、あの……しゅ、修太郎さんは……このままでも、いいと……お思いですか?」

 私は一生懸命考えた挙句、そうお尋ねしました。

「このままでも?」
 修太郎さんが私の言葉を復唱していらしたので、緊張の余り、ごくっと喉が鳴りました。

「こ、このまま……その……で、出来なくても……、という、意味……です」

 はっきりとエッチできないのが、と申し上げるのが恥ずかしくて、少し言葉をにごしましたが、多分分かってくださると思います。
 私に合わせていたら……その可能性もある気がするのです。

 私の言葉に、修太郎さんが息を飲まれたのが分かりました。
 やはり……もしこのまま出来ないままだったら……いずれは見切りをつけられてしまうのかもしれません。
 そう思って下唇を噛み締めました。

「……それは、困りますね」

 ややして修太郎さんがポツン、とそうおっしゃって、私は「やはり」と思いました。