私と修太郎さんは夫婦なのに。
 痛くてエッチが出来ないとか……皆さんには普通にできていらっしゃるはずのことが、我慢できないとか……離縁されてしまうかもしれません。

 私はすごくすごく怖くなりました。

「おねがっ、捨てな、ぃで……っ」
 妻としてのお務めを果たせなかった身で、そんなこと言えた義理じゃないのは十分すぎるぐらい分かっています……。でも、私は修太郎さんを失いたくないです。

 痛がっているのを隠し切れなかった自分が、修太郎さんに気を遣わせてしまった自分が、情けなくて悔やまれて仕方ありません。

日織(ひおり)、さん?」
 修太郎さんが私の顔を覗きこんでいらっしゃいます。私は布団が肩から滑り落ちるのも気にせず、修太郎さんにしがみ付きました。

「痛く、ても……我慢しまっ……。だから……」
 もう一度チャンスをください、と修太郎さんのお顔を見つめ返しました。じっと彼の目を見て「……私、頑張り、ま……、のでっ……!」と申し上げたら、修太郎さんが(すが)り付く私を強引に引き剥がしていらっしゃいました。

 すごく、怖いお顔をなさっています。

「どうしてそんな……。ご自分を(ないがし)ろにするようなことを平気でおっしゃるんですか? 僕がいつ、痛がる貴女を無理矢理犯したいと言いましたか?」