あなたに、キスのその先を。

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 金曜日の就業後。
 私は修太郎(しゅうたろう)さんに、恐る恐る一旦帰宅してお泊りの支度(したく)をしてきたいのですが……とおうかがいを立ててみました。

 もしダメです、と言われてしまったらどうしよう、と思ったのですが、「もちろん、それで構いませんよ。そうですね。十九時頃にお宅へお迎えに上がるのでいかがでしょう?」と案外あっさり受け入れていただけました。

 二泊三日ともなると、夏とはいえお洋服だけでも結構かさばりますし、一応私も女の子の端くれですから、それなりにお化粧の道具やお肌や髪のケア用品なども必要です。

 荷物はなるべく軽量化をはかりたいですが、事前に色々試行錯誤しながら準備してみた結果、大きなバッグにギュウギュウ詰めになる程度には物が増えてしまいました。

 えっと……。
 例えば……自宅でお風呂を済ませてルームウェアに着替えて行ったら少しは荷物、減りますかね?

 ふとそんなことを考え付いた私ですが、さすがにお部屋着で修太郎さんのお迎えを受けるわけにはいかない、と思い至りました。

 もしかしたら途中でどこかに寄ってお食事を、とか考えていらっしゃるかもしれませんし。

 うー。どうしましょう。

 荷物を出したり入れたりを繰り返した挙句(あげく)、私は「あ、お風呂!」と思って、とりあえず今日の入浴だけは自宅で済ませておこうと思い至りました。

 修太郎さんのお宅のお風呂をお借りするとか……なんだか恥ずかしいですしっ。