あなたに、キスのその先を。

 お父様は立ち上がって応接室を出られると、ややして封書の束を手に戻っていらした。

「見るかい?」

 お父様から差し出されるままにそれを受け取って、束ねてある紐を解くと、何通もの分厚(ぶあつ)いお手紙で。

「修太郎さんの、字……」

 中身を取り出してみなくても宛名書きで分かります。それは、(まぎ)れもなく、いつもお仕事の時に見慣れた修太郎さんの筆跡で。

「中を拝見しても?」

 恐る恐るお父様にお(うかが)いを立てると、何故か「日織(ひおり)が恥ずかしくなければね」と笑みを浮かべて申し添えられてしまった。

「え?」
 思わず間の抜けた声を発してしまってから、私は恐る恐る封書の中身を引っ張り出す。

 深呼吸をしながら畳まれた便箋を広げてみると……。

 右上に日付が付されていて、私がその日何をしたのかが紙一面にビッシリ事細かく(したた)められていた。