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「日織さん。俺が提案した通り、外に働きに出てよかったでしょう?」
私と修太郎さんの会話が一区切り付いたと判断なさったのか、健二さんが、ほんの少し声に笑みを含ませてそうおっしゃって……私は弾かれたように修太郎さんに重ねていた手を離す。
健二さんと佳穂さんの存在を忘れていたわけではないけれど、若干二人だけの世界に入り込んでしまっていたと自覚して、途端恥ずかしくなった。
手を自分の膝のほうへ引き寄せたいのに、修太郎さんは、最初から掴んでいらしたほうの手を離しては下さらなくて。
仕方なく、片手を繋いだ状態のまま健二さんを見つめると、ニヤリと笑ってウインクされた。
「あの頃の日織さんが俺の言ったことや親御さんから言われたことに逆らわないのは分かっていたので……すみません。貴女の流されやすい行動を見越して少し利用させてもらいました」
言われた言葉の意味が分からなくて「え?」と声を出したら、
「兄さんがね、ことあるごとにお前の許婚は元気なのか?とか日織さんのことを気にしてくるのが正直面倒くさかったんです、俺。……で、佳穂に相談して賭けに出させてもらいました」
本来なら佳穂と付き合うようになった時点で、婚約の件は白紙に戻してもらおうと思っていたんです、とおっしゃってから、「どんな形であったにせよ、騙すような真似をしてふたりには申し訳ないことをしました」と、佳穂さんと頭を下げていらした。
「日織さん。俺が提案した通り、外に働きに出てよかったでしょう?」
私と修太郎さんの会話が一区切り付いたと判断なさったのか、健二さんが、ほんの少し声に笑みを含ませてそうおっしゃって……私は弾かれたように修太郎さんに重ねていた手を離す。
健二さんと佳穂さんの存在を忘れていたわけではないけれど、若干二人だけの世界に入り込んでしまっていたと自覚して、途端恥ずかしくなった。
手を自分の膝のほうへ引き寄せたいのに、修太郎さんは、最初から掴んでいらしたほうの手を離しては下さらなくて。
仕方なく、片手を繋いだ状態のまま健二さんを見つめると、ニヤリと笑ってウインクされた。
「あの頃の日織さんが俺の言ったことや親御さんから言われたことに逆らわないのは分かっていたので……すみません。貴女の流されやすい行動を見越して少し利用させてもらいました」
言われた言葉の意味が分からなくて「え?」と声を出したら、
「兄さんがね、ことあるごとにお前の許婚は元気なのか?とか日織さんのことを気にしてくるのが正直面倒くさかったんです、俺。……で、佳穂に相談して賭けに出させてもらいました」
本来なら佳穂と付き合うようになった時点で、婚約の件は白紙に戻してもらおうと思っていたんです、とおっしゃってから、「どんな形であったにせよ、騙すような真似をしてふたりには申し訳ないことをしました」と、佳穂さんと頭を下げていらした。



