あなたに、キスのその先を。

日織(ひおり)さん。今のは……本当、ですか?」

 やがてポツリとつぶやかれたお声に、私は恐る恐るうなずいた。

「はい」

 首肯(しゅこう)しながら声に出してそう言ったら、修太郎さんが、今にも泣き出してしまいそうな、なんとも言えないお顔になられて。

修太郎(しゅうたろう)さん」

 私は(つと)めてにっこり笑うと、修太郎さんの目を見つめて、心を込めてお礼を言った。

「私を好きになってくださって、本当に有難うございます。ぼんやりしていて抜けたところだらけで申し訳ないんですが……これからもずっとお傍にいさせてくださいますか?」

 一生懸命そう告げたら、修太郎さんはとても嬉しそうに笑っていらした。

「もちろんです。愛しい貴女をやっと捕まえられたんだ。嫌がられても離してあげません」

 言いながら、ギュッと手を握られて。

 独占欲を隠そうとなさらない修太郎さんの強い瞳に、私の胸はドキドキと高鳴る。

 本当はそのまま抱きしめていただきたかったけれど、さすがに何度も何度もお食事中に席を立つのはマナー違反だし、佳穂(かほ)さんと健二(けんじ)さんの前だから。

 私は修太郎さんに近づきたい衝動をぐっと(おさ)えると、私の右手を包み込む彼の大きな手の上に、自らの左手を重ねてギュッと握り返した。