『無事のお着き、ホッといたしました。
大好きな修太郎さんと、たくさんたくさん一緒にいられるように、私も一生懸命がんばります!』
タッチパネル上の文字の配置が覚えられていないので、短い文章なのにとても時間がかかってしまった。
修太郎さんへの返信なので、思い切り可愛らしくしたくて、絵文字をああでもない、こうでもないと吟味して、あちこちにちりばめる。
画面の上で、キラキラチカチカ小さな可愛い絵文字が踊る。“大好き”の後に、ハートの絵文字をつけては消し、つけては消し、を何度か繰り返してから、結局思い切って付けたままにする。
出来上がった文を照れながら読み返してから、私は「えいっ!」と掛け声をかけて送信ボタンを押した。
途端、ピョインというユニークな音がして、私が送ったメッセージが吹き出しになって修太郎さんのメッセージの下へ連なる。
「ショートメッセージってこんな感じなんですね」
誰にともなくつぶやくと、ふと思い立って、もう一度健二さんの連絡先を呼び出した。
『はじめまして。日織です。
このたび、携帯電話を持つことになりましたので、番号をお知らせいたします。
番号は』
そこまで打ってから、お母様のために書いたメモを見ながら、自分の携帯番号を間違えないよう慎重に入力する。
本当は、番号なんて打ち込まなくても、送った時点で相手に私の番号が通知されるのだということを、この時の私はまだ知らなくて。
さっき、修太郎さんへ送ったメッセージとは違って、文字だけの味気ない用件だけのメッセージ。
シンプルなのに、送るとなると気持ちのほうは複雑にもつれて、手がブルブル震えた。やっとの思いで送信ボタンを押したあとで、『はじめまして』はおかしかった、と気が付いた。でも後の祭りで。
送ったメッセージは取り消せない。
私はたった今、そのことを学んだ。
「うーーーー」
恥ずかしいっ。小さく唸りながら送信済みのメッセージと睨めっこしていたら、またしても手にしたスマートフォンがブルブルと振動して、着信を知らせる黒電話の音が鳴った。
短いシャラーン音とは明かに違うその音は、音声通話の要求を知らせる音で。
あたふたと画面を見ると、
「健二さん……!」
だった。
大好きな修太郎さんと、たくさんたくさん一緒にいられるように、私も一生懸命がんばります!』
タッチパネル上の文字の配置が覚えられていないので、短い文章なのにとても時間がかかってしまった。
修太郎さんへの返信なので、思い切り可愛らしくしたくて、絵文字をああでもない、こうでもないと吟味して、あちこちにちりばめる。
画面の上で、キラキラチカチカ小さな可愛い絵文字が踊る。“大好き”の後に、ハートの絵文字をつけては消し、つけては消し、を何度か繰り返してから、結局思い切って付けたままにする。
出来上がった文を照れながら読み返してから、私は「えいっ!」と掛け声をかけて送信ボタンを押した。
途端、ピョインというユニークな音がして、私が送ったメッセージが吹き出しになって修太郎さんのメッセージの下へ連なる。
「ショートメッセージってこんな感じなんですね」
誰にともなくつぶやくと、ふと思い立って、もう一度健二さんの連絡先を呼び出した。
『はじめまして。日織です。
このたび、携帯電話を持つことになりましたので、番号をお知らせいたします。
番号は』
そこまで打ってから、お母様のために書いたメモを見ながら、自分の携帯番号を間違えないよう慎重に入力する。
本当は、番号なんて打ち込まなくても、送った時点で相手に私の番号が通知されるのだということを、この時の私はまだ知らなくて。
さっき、修太郎さんへ送ったメッセージとは違って、文字だけの味気ない用件だけのメッセージ。
シンプルなのに、送るとなると気持ちのほうは複雑にもつれて、手がブルブル震えた。やっとの思いで送信ボタンを押したあとで、『はじめまして』はおかしかった、と気が付いた。でも後の祭りで。
送ったメッセージは取り消せない。
私はたった今、そのことを学んだ。
「うーーーー」
恥ずかしいっ。小さく唸りながら送信済みのメッセージと睨めっこしていたら、またしても手にしたスマートフォンがブルブルと振動して、着信を知らせる黒電話の音が鳴った。
短いシャラーン音とは明かに違うその音は、音声通話の要求を知らせる音で。
あたふたと画面を見ると、
「健二さん……!」
だった。



