あなたに、キスのその先を。

 私は魔法にかけられたみたいに、修太郎(しゅうたろう)さんのその言葉に素直に従ってしまう。

 それを見届けてから、
日織(ひおり)さん、せっかくですし、今日はこのままご自宅までお送りさせてください」

 修太郎さんはそうおっしゃって、抱きしめていた私の身体をお放しになられると、代わりに手を取っていらした。

 修太郎さんがdocono(ドコノ)の袋を持ってくださって、私の片手が空いたのはこのためだったのかな?と思ってしまうくらい自然な流れで。

 そのまま歩き出す修太郎さんに手を引かれて歩きながら、ごく自然に繋がれた手を見つめて、私は何故か抱きしめられたときよりもドキドキしてしまった。