(私、修太郎(しゅうたろう)さんの前でなんてはしたない姿を見せてしまったんだろう)

 修太郎さんに下着(ショーツ)のなかをあばかれてしまったり……と、会議室でのあれは、今まで自分がいかに子供っぽい毎日を送ってきたのかを思い知らされるには十分だった。

 今日私が体験したことは、もしかしたら同年代の女性ならばすでに経験していても不思議ではない事なのかもしれない。

 でも、私には刺激が強すぎて。

 結婚するまでは、夫になる方以外に肌を見せるべきではないと思っていたのに。私は今日、修太郎さんに今まで誰にも見られたことのないような場所を見られてしまったから。私は両親も裏切ったことになる。

(私、健二(けんじ)さんとはやっぱり結婚できない)

 修太郎さんに心奪われた時にもそう思ったけれど、心の片隅にまだほんの少し残っていた躊躇(ためら)いのようなもの。それが、今日のことですっかり消除(しょうじょ)されてしまった。

 もはや修太郎さんと共に歩む以外の道は残されていないとすら思ってしまって。

 我ながら、その思い込みの激しさに溜め息がもれる。

 でも……やはり一緒にいるのは修太郎さん以外には考えられなくて。

 だとしたら――。

 先の歓迎会の日にタクシーの中で修太郎さんに念押しされたことをちゃんと果たさなければ、修太郎さんの横に並ぶ資格すらないと思った。