愛しの彼に溺愛~ジムトレーナーの場合~

ドガっという音と共に落ちる器具。
少し重量感のある音に身体が少しだけビクっとする。
だけどビクっとする身体とは真逆の安定感…。

え?

私…。バランスを崩したよね…?


「だ、大丈夫ですか…!?」

「へ?」


予想以上に近い距離から聞こえる彼の声に私は顔を上げる。
そのあまりの近さから頬が真っ赤に染め上がる。


「う、うぇ?あ、す、すいません!!」


東條さんに抱きしめられていると脳が理解した瞬間、勢いよく彼の腕から離れる。


「お怪我はないですか?」
「は、はい!東條さんのおかげで…」
「それならよかったです。ですがこういった器具や道具は結構重量感があるので使用するときは必ず注意してくださいね」
「はい…。すいません…」


未だに高鳴る胸を押さえながら下を向き、私は再度彼に謝った。