「本当に好きだったのに゛ぃい~~っ!!」



その情報は今 目の前でわんわんと泣き喚く友人から、ついさっき仕入れたものだ。

ものの数秒前、言っていた。それはもうハッキリと。「男はねぇ!どうせ自分のモノになるまでが燃えんの!楽しいの!そういうもんなの!」と断言して、すぐさま机に突っ伏していた。



「ていうか、何っ回も告白してくるから仕方なく付き合ってやったのに!!!」

「……」

「なんであたしがフラれなきゃいけないわけ!?!?」


半狂乱で叫ぶ友人にもはや失笑ともとれる笑みを浮かべて「まあまあ」と宥める事しか出来ない。

とりあえず化粧がぐちゃぐちゃでやばい事になっていたから、ポケットティッシュを数枚引き抜いて手渡す。

友人はそれで鼻を拭きながら、まるで水滴が滴るようにぽつりぽつりと言葉を落とした。



「…こんなにあたしを好きになってくれる人、他に居ないかもって思ったの」

「…うん」

「なのにさぁ…っひどくない?釣った魚にエサやらないタイプだって知ってたら、付き合わなかったのにい゛ぃ~…!」


数ヶ月前、飲み屋で知り合った男の人に猛アタックされたらしい。どう見てもチャラそうだったから何度も断ったらしいけれど、その熱意に絆されて、交際が開始。

でも、優しかったのはせいぜい付き合って一ヶ月までだったとか。その後はもう、清々しいくらいの放置。そして、破局に至ったというわけだ。



「こんなんヤリ捨てと一緒じゃんかぁッ!!」

「ちょ、ちょっと声抑えよ???」



真昼間からヤリ捨てとか言わないで欲しい。しかもここは学食。本当なら泣き喚くのも我慢してほしいところだ。

そう思うくらい、周りの視線が痛い。