「…で、どうすんの」
少し先を歩く皇明はちらりと首だけで私を振り返り、そう尋ねてくるから「うーん…」と唸るような声を出して、口を開いた。
「実は1回断ってるんだよね。でもその後も話しかけてくれて、連絡先 交換してからは電話もしょっちゅうかかってきてよく話すようになったし…正直、悩んでる」
「……」
「友達には“試しに付き合ってみたら?”って言われるんだけどさぁ~…“付き合う”って、具体的に何すればいいの?」
そう聞きながら意味もなく見上げていた空から、皇明に視線を移す。
少し歩くペースを上げて隣に並び、首を傾げる私を皇明はツンとした表情で見下ろして、
「キスとかセ ックスとか」
「っぶ!」
こんな真昼間から、恥ずかしげもなくそんな言葉を放つから思わず噴き出してしまった。
「っな、何言ってんの!?あんた馬鹿!?」
「いやお前が聞いたんだろ」
「そりゃそうかもしんないけどっ…なんかこう、もっとあるじゃん!一緒に帰ったりとか出かけたりとか!」
「そんなん俺らもしてんじゃん」
次に降ってきた言葉に思わず足を止める。
言われてみればそうだ。
皇明とは毎日登下校を共にしてるし、放課後に駅前まで買い物に行ったりするし、なんならお互いの家だって行き来してる。
……そうか。
キスとかその先をするのが“恋人”っていうものなのか。


