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パタパタと廊下を駆ける。

数メートル先、下駄箱に寄り掛かるようにして立っている人物を視界に捉えた。


「──っごめん!遅くなった!」


顔の前でパンッと両手を合わせて謝る私に「別にいいけど」とツンとした表情で答えてくるのは、梶浦《かじうら》 皇明《こうめい》。私の幼なじみだ。

幼稚園から高校までずっと同じ。さらには家も2軒隣。幼なじみというより腐れ縁といった方が正しいかもしれない。

皇明とは幼稚園から今までずっと登下校を共にしている。

その理由は家が近いからというのもあるけれど、私の母がかなり過保護で、できるだけ皇明君と一緒に帰ってくるのよと小さい時から何度も言われ続けてきたっていうのが大きいかもしれない。



「何?また居残り?」

「んーん。違う。なんか告白されちゃってさぁ~」


下駄箱から取り出したローファーに足を通す。

ローファーって履きにくいし歩きにくいから嫌だって言ったけど、お母さんが問答無用で買ってきたから仕方なく履いてる。

早くボロボロになんないかなぁ、なんて思っていると頭上から「…は?」という乾いた声が降ってきた。