「あいつが、抜き忘れたんだ。はやくのまねえと、渋味がどんどん出て、
どのみち、味噌汁が俺にそまっちまう。
それは、したくねぇ。
頼む。あいつに、お前に合わせてもらったあいつの味噌汁が、俺になっちまうのは、嫌なんだ!!」
さぁ、早く、と彼は諭した。
私は涙をぬぐいながら、「わかった」と、
覚悟を決めた。
それを飲んでいく。
ゆっくり、ゆっくり。
ゆっくり、ゆっくり。
「ごめんね」
ごく、ごく、ごく……
頬に、一筋涙が伝う。
私たちの出会いは
運命だった。
まだ、あなたの感触が染み付いている。
あなたが、私に愛することを教えてくれた。



