闇の世界に一生の愛を

でも、現実はそう上手くはいってくれなくて。




父は、私が中学3年生を卒業してすぐ事故に巻き込まれた。



そう、それが私が叔母さんの家にいる理由。



お父さんは、いまだ意識不明で。




お医者さんには、目覚めるのは本人次第だって言われている。




そんなこと、言われなくてもわかっていた。




お願いっ。お父さん、戻ってきてっ・・・?




今日も私は、そんなことを考えながらあの街に向かう。



カランッー



そんな音が店内に響く。



「こんばんは」



「おぉー、紫苑!!確か、今日は出勤じゃなかったよな?」



「はい。だけど、今月ちょっと厳しくて・・・。」



「まぁ、そんなことだと思ったよ。人手足りなかったから逆に助かる。今日はやけに忙しくなりそうだからよ」




「ありがとうございます。」



バーのオーナーの雪那さんは、私の家庭事情は理解してくれている。



だから、こうやって困ったときにはいつも助けてくれる。



そう思いながらも、さっき雪那さんが言った言葉が引っ掛かっていた。