(ひたい)から汗が伝い、(ほほ)(すべ)って(あご)からズボンにポタリと落ちる。
 暑い……。
 暑すぎる……。

 外を歩いて帰ってきたこともあって、僕の思考回路は熱で段々麻痺してきていた。

(ええい、ままよ……!)

 僕は部屋の明かりをつけたまま、ランプに手を伸ばし――お店で彼女が見せてくれた通りの手順でそれに火を灯した。

 途端、部屋の中がひんやりとした冷気で満たされる。

「あぁ……涼しい……」
 思わず嘆息とともにそんな言葉を吐き出しながら、どうしてこれを使うとこんなに涼しくなるんだろう?と考える。

 電気を切ったらその答えが分かるんだろうか?

 人間、禁忌(タブー)だと言われたことは破りたくなってしまう生き物だ。

 僕は、ゴクリ……と生唾を飲み込んだ。