「えっ?」

 思わずそうつぶやいたのと、頼綱(よりつな)に手を引かれて立たされたのとがほぼ同時。


「じゃあ行きますよー? はいチーズ!」

 お姉さんのにこやかな声とともに、私はぐいっと頼綱に抱き寄せられた。


 首元に回された頼綱の右腕に引っ張られるように、「ひゃっ」と言う声とともに身体が彼の方に傾いたのと、カシャッ!というシャッター音が響いたのとが同じタイミングで。


「すっごくいいのが撮れました! 自信作です!」


 店員さんが満面の笑みで頼綱にスマートフォンを手渡したのを呆然と見やる。


 頼綱が店員さんにお礼を言ってから画面を確認して嬉しそうに微笑みつつ何やら操作しているのをぼんやりと眺めていたら、()()()()()()()()()()()()気がして。

「……頼綱?」

 その表情に不安を覚えた私だったけれど、次の瞬間には何事もなかったみたいに

「――花々里(かがり)、出来たよ」

 そう言われてスマートフォンを手渡された。