「風力3、風向北東、風圧、抵抗、異常なし!」
奇跡的な回復力を、みせたルーホーは
再び風職人の職に着いていた。


「罪人ルーホー!!判決!!」
裁判所が判決を下す。


「えっ!?無罪!!?」
病院で目を覚ましたルーホーにそれはすぐ伝えられ、
まさかの結果に驚く。



王の謁見室。
「、、、と、いう罪人でありまして、、、」
厳格な王の前で
恐る恐る罪状を明かす裁判官。
ユスティシーの言い分も含めて伝えた為、
怖くて顔も上げられない。
「、、、」
強面の王は立ち上がり、
国が見渡せる窓から外を見つめる。
「、、、曾祖父さんが亡くなる前、
幼い私の前でこんな事を話したんだ。」
それは、
空に伝わる童話のようなお話。
天上人と地上人が恋をする
もう一つの話、、、。
「曾祖父さんは亡くなる時に私にこう伝えた。」

「『わしが、、、風の管理を始めた事。それは合っていたのか間違っていたのかは分からん、、、』」
「『ただ、、、もし、空の管理が整って、、、再び地上に恋する者が現れたら、、、』」
「『空がその者を全力で応援してやってくれ、、、』」


曾祖父さんが言っていた、
地上に恋する者。
童話から出てきたような
曾祖父さんをそのまま移しだしたような
その存在に
王の心が動いた。
「悲しみは続いてはいけない。」



「お〜〜い!ルーホー!!」
そんなルーホーの元へウォルスが駆け足で駆け寄る。
「頼む!かくまってくれ!!」
そう言うウォルスは白衣に身を包む。
「もう、あっちの学会!こっちの研究!教授もしろだ!!?」
ウォルスはあの後、雲を壊した技術で博士号を取り
異常気象を防ぐ第一人者として
超多忙な日々を送っている。

「マジ身体がいくつあっても足りね〜!」
はぁはぁ息を切らせながら大げさに言う。
「でも、求められるのはいい事じゃないか。」
「間違いね〜。」
笑顔で笑い合う二人。

「待ちなさ〜い!博士〜!!」
「やっべ〜!見つかった!じゃあ行くわルーホー!」
ウォルスはなんだかんだで凄く楽しそうだ。
「やっぱり俺には逃げ回って方が性に合ってるみたいだ。」
大勢の学者に追われ去っていったウォルス。
それを見てクスクス笑うルーホー。
「さて、今日も一段落。ブルーはどうしてるかな?」
そして、今日もブルーを見て疲れを癒やす。



北東から優しい風がチューリップ畑に吹く。
そんなチューリップ畑の真ん中から
髪をかき上げながらブルーは青い空を見上げる。
「ルーホー、、、。」



満開に咲き誇るチューリップ畑に居る
ブルーを見つめるルーホー。

その傍らには

チューリップの花束が飾られていた。