「さぁ、ヒーローからのコメントだぞ!」
幹事に連れられ壇上に上がるルーホー。
人々に見つめられる中、緊張しながら話す。

「え〜っと、、、これまでお疲れ様でした。
まだまだ建物内の泥とか耕地とかやる事は
沢山ありますが、、、」
「とりあえず一段落という事で。
今日はみんなで楽しんで下さい!」
パチパチパチ、、、
「いいぞ〜〜!!」
まだとりあえず置かれた机や椅子のバーは
ありったけのお酒や食料が並べられ
場はおおいに盛り上がる。

「兄ちゃん!飲め飲め!」
「これ、私のうちで作った豚なの!よかったら食べて!」
「兄ちゃん!語ろうぜ!!」
肩を組まれ、腕を引っ張られ、
服を捕まれ、抱きつかれ。
ひっぱりだこのもみくちゃにされながらの
力いっぱいの熱い洗礼に

イタイ、イタイ、グエッ!
ブルーの方まで逃げ出してきたルーホー。
「フフッ。大人気ね。ルーホー。」
「でも、痛いのとか苦しいのは嫌だな。」
クスクス笑う二人。
一緒に復興に力を注いでいるうち
二人の距離は縮まっていた。

「あなたのおかげで街は活気を取り戻した。
本当にありがとう。」
ブルーが満面の笑みで見つめる。
ルーホーは恥ずかしくて目をそらしながら
力強く答える。
「これが僕の仕事だから。どんなに頑張っても足りない位みんなを苦しめたから。」
そんな二人の会話にビスルが割って入る。

「おいおい!なんだ!二人でお揃いで!」
ベロンベロンに酔った状態で両脇で二人を挟み
絡んでくるビスル。
「ルーホー。お前は男の中の男だ!お前になら
娘をやっていい!」
ブーーッ!
突然の事に思わず飲んでいたものを吹き出すルーホー。
「ちょっ!何言ってるの!お父さん!!」
頬を赤くしながら腕を振りほどき
足もおぼつかない父を支えるブルー。

「お前もコイツの事好きだろ!俺には分かる!!」
ベロンベロンに呂律も回ってないような口調で話すビスルを
「ほら!もういいから!あんまり飲みすぎないでよ!」
捨てるように男達が騒ぐ輪の中に連れて行くブルー。
「娘を宜しく頼むぞ〜〜!!」
と、捨て台詞を吐く。

「えっ!どうしよう!?」
突然の父からの合格宣言にたじろむルーホー。

「じゃあ!男ビスルのぼうけんたん!始めるぞ!」
「神のかぜのはなし、、うえっぷ」
向こうでも調子よく話を始める。
「おい!ビスル!その話もう10回目だぞ!」
「、、、うえっぷ。何回でも聞かせてやるよ!
俺は奇跡の生還を、、、うえっぷ」

そんな父を遠ざけブルーが帰って来る。
「ごめんね〜。お父さん飲むとああやって絡んでくるの。この前もね、、、」
そんなブルーの横顔を見つめると
胸がドキドキ高鳴ってくる。
『お前もコツイの事好きだろ!』
ブルーも僕の事、好きになってくれたのかな?
この子がこうやって笑って話してくれてる。
それだけで幸せな気分に包まれるルーホー。
それに、
ビスル達も元気で大騒ぎしている。
その現実を見るだけでルーホーは嬉しくなってくる。

「でも、本当に無事で良かった!僕は"あの時"の
事をずっと後悔してた。ホントに正しい事をしたのかって。」
今までの事がこみ上げて
目が、涙で潤む。
苦しかった。
一人で抱えて。
何度も挫けそうになった。
それがこうしてみんな、元気で。
ブルーも笑顔で居てくれる。

「あの時?」
そんな憂いを帯びたルーホーの横顔を、見て
ブルーは優しく問いかけた。